みりんはどんなときに使っていますか。具体的に聞かれるとちょっと・・・となる人もいるのではないでしょうか。調味料の使い方で有名な「さ・し・す・せ・そ」には、みりんが入る余地はないようです。みりんは一体どこで使ったらいい調味料なのでしょう。
分かりそうでよく分からないみりんの使い方です。みりんは日本特有の発酵食品です。発酵食品としての効能は、食欲増進、便秘改善などがあります。またみりんは、素材のうまさを引き出すといわれています。
今回は徹底してみりんの魅力や料理に使い時の使い方などをを紹介したいと思います。
目次
1.みりんは酒の仲間! みりんの定義とみりんの作り方!
日本独自の調味料の一つです。みりんの魅力はなんと言っても食欲を増進させてくれるふくよかで上品な甘みです。みりんを使うと食材に旨味と濃いコクがでてきます。またそのまま飲める珍しい調味料です。
みりんとみりん風調味料はちがう!みりんの定義は?
みりんの定義
みりんは酒税法という法律に定義が決められています。それによると「もち米・米麹及び焼酎またはアルコールにみりん、その他政令で定める物品を加えて濾した物」となっています。
みりんの原料は、もち米・米麹・焼酎か醸造アルコールです。蒸したもち米と米麹、焼酎を仕込むと、米麹が作り出したアミラーゼによって、もち米や米麹自体のデンプン、麹の働きによってブドウ糖に分解されます。
酵母菌は活発に働こうとしますが、アルコールの力でブレーキをかけながらゆっくりゆっくり分解してもらいます。そうすると甘味と旨味を兼ね備えた本みりんができます。
そして、圧搾した液体をさらに熟成させるのが、伝統的な製造法です。そのまま飲んでも美味しく飲めます。
みりんは約40%のアル、アルコールを一緒に煮込むので、アルコール発酵はしません。糖をアルコールに変える発酵をしない代わり麹の力のよって、分解された糖が残るため、甘くなります。
酒税法のみりんの定義は、「もち米・米麹・及び焼酎またはアルコールにみりん、その他政令で定める物品を濾した物」となっています。その政令で定める物品は、トウモロコシ、ブドウ糖、水飴など白米の2倍までしようできることになっています。
また副材料を入れずに作ったみりんを「100%本みりん」といいます。
「本みりんは」はアルコールが14%含まれていますので、酒税の対象になります。つまりお酒と同じ扱いになりますので、酒販免許が必要です。
本みりんは、加熱しないでそのまま使うときは、「煮切り」といって、液体を煮て、アルコール分を飛ばさなければなりません。しかし、本みりんは一手間掛けても、上品な甘さや旨味があります。
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本みりんとみりん風調味料の違いはアルコール量
「みりん風調味料」は、アルコール度数が1%以下なので、酒販免許はなくても販売できます。これが、本みりんとの決定的な違いです。
「みりん風調味料」は、水飴やブドウ糖などの糖類に米、米麹、旨味調味料などを調合して作られています。
「みりん風調味料」の良い点はアルコール度数1%以下なので、熱を加えないでそのまま使いことができます。また、本みりんに比べて価格が安いのも使いやすい点です。
2.みりんが調理にもたらす5つの効能
みりんを使う効能には以下のことが上げられます。
- 旨味やコク、上品な甘みの味付けをする
- 照りやツヤを出す
- 臭みを消す
- 味の浸透をよくする
- 煮崩れを防ぐ
みりんを使うと5つの効能がある
旨味やコク、上品な甘みの味付けをする
みりんの甘みは「ブドウ糖」「オリゴ糖」など何種類もの糖が含まれています。また、甘みだけではなく、アミノ酸や有機酸などの成分が旨味やコクをだします。めんつゆや炊き込みご飯に使うとこの特徴を生かした料理が作れます。
通常の砂糖の甘みはショ糖のみの強い甘みですが、みりんの甘みは多種類の糖類で構成されているため、やわらかで上品に仕上がります。さらにコクと丸みがある深い味わいの旨味がでます。
もち米から生まれるアミノ酸、ペプチドなどの旨味成分と糖類、その他の成分が複雑に絡み合って、深い刻と旨味が生まれます。
特にアミノ酸は、旨味、風味の幅を広げます。また、有機酸は酸味を与え複雑味を増加させます。加えて糖類は上品な甘みを与えます。
照りやツヤを出す
みりんの糖分は、食材に美しい照りやツヤをつけることができます。みりんとしょう油が合わさると特に美しい照りやツヤがつけられます。これは、糖が素材の表面に皮膜をつくり、水分や美味しさを保つためです。
この特性を生かした料理にぶりの照り焼き、チキンの照り焼きなどがあります。みりんが作る照りとツヤは、清酒と砂糖では同じようには作れません。
臭みを消す消臭効果がある
みりんにはアルコールが含まれているので、揮発するときに臭みを消してくれます。熱が加わると素材にしみ込んだアルコールが蒸発し、その時アルコールと一緒に魚や肉の臭みを連れてでていきます。
アルコールだけではなく、糖類やアミノ酸には、香気成分が含まれており、それらにも臭いを消す効果があります。アルコール、糖類、アミノ酸、有機酸の反応で臭い成分に変化を起します。
味の浸透をよくする
みりんに含まれているアルコールは分子が小さいので、食材への浸透が早くなります。特にほかの調味料はみりんと一緒に使うことで、早く食材に浸透するため、均一の味付けができます。
煮物などでは、味が浸透してしみこみやすくするためにみりんは、一番始めに使うと効果的です。
煮崩れを防ぐ
動物姓食餅の肉は、みりんを使うと肉の組織が引き締められるため、細胞壁が壊れにくくなります。これは、糖類、アルコールの作用で筋繊維の崩壊を抑制するためです。そのため煮崩れを防ぐことができます。
また植物生食品は、糖類・アルコールの作用でデンプンの流出が抑制されます。ジャガイモのように煮崩れを起しやすい食材にみりんを使うと煮崩れを起しにくくなり、形が比較的きれいに残ります。
3、本みりんとみりん風調味料、使うタイミングの違い
みりんを使うとき、本みりんとみりん風調味料を使うタイミングが違います。
みりん風調味料を使うタイミング
一般にみりん風調味料は、料理の後半に使います。
また、照りやツヤを出したいときは、料理の仕上げの時に使います。みりん風調味料はアルコールがほとんどないので、直接かけて甘みを出したいときにも使えます。
みりん風調味料の甘みは、みりんが熟成するときの甘みではなく、水飴やブドウ糖を足して本みりんの味に似せて作られた甘みです。そのため、本みりんより糖分が多いので、照りや風味を出すための料理の最後に入れると料理がおいしくなります。
本みりんを使うタイミング
本みりんを使い時の使い方を紹介します。
たとえば煮物で野菜を煮るときは、塩分が染見るのが早いので、しょう油や塩の味付けより先にみりんを入れて煮るのがコツです。
みりんはツヤを出すので、仕上げ前に少々みりんを加えると、みりんに含まれた糖分が表面を覆いツヤをだします。
たとえば炒め物の時は、みりんは中盤に使います。
- 野菜を炒めるときフライパンをあたためます。
- 油を熱したら、野菜を入れます。
- 火が通ってきたら、本みりんを入れる
- しょう油、こしょうなどで味付けする
- 味付けに味が付くまで炒めて完成
煮魚は煮崩れを起さないように短時間で仕上げることがコツなので、煮汁を作る段階でみりんを使います。
また、お米をといだ後に少しみりんを垂らしてお米を炊くと炊きあがったご飯につやが出ます。
デザートにも使える、みりんの使い方の応用
みりんは上品でやわらかい甘さがあるので、デザートにも使われています。
砂糖の代わりにみりんを入れて、ゼリーにしたり、果物のジュースに入れたりと幅広く使われています。
ただ、本みりんは熱を加えずに使うとアルコールがけっこう入っています。必ず鍋に本みりんを入れ、少し沸騰させた「煮切りみりん」にして使います。
もし熱を加えずに使いたいときは、レンジに1~2分かけると、アルコールが飛びます。それほど面倒もなく使えると思いますのでアルコールを飛ばしてから使うといいでしょう。
コーヒーの砂糖代わりや、みりんを煮詰めてシロップとして使ってもいいです。特に飲んで楽しむ場合は、糖分が加えられたみりん風調味料ではなく、100%の本みりんを使用した方がいいでしょう。
4.まとめ
みりんは素材の旨味を引き出します。料理とっては、縁の下の力持ちです。日本特有の発酵食品であり、万能調味料です。
煮物に使う調味料というイメージがありますが、実はスィーツに、飲料に、と幅広く使われています。砂糖を一切使わっていない自然な甘さは、身体にも良さそうな気がします。
おいしいみりんはできるだけ100%に近い本みりんを使うとよいでしょう。
購入するときは、みりんを手に取り、成分表に「もち米、米麹、焼酎」で作られている物を選ぶようにしましょう。ぜひ、自分なりのみりんの使い方を探してみてください。