日本酒と料理! 日本酒の芳醇な米の香りと料理は絶妙な味を醸し出す、最強のコンビです。
食材を調理する時、料理酒や清酒を使う場合があります。料理酒と、わざわざお酒に料理という言葉を漬けている意味は、なぜなのでしょう!お酒と料理酒は、違うものなのでしょうか?
料理にどちらを使うとおいしく出来上がるのでしょう。今回は、調理に使うときは清酒がいいのか、料理酒がいいのか、また2つの違いはどこにあるのかを比べて見たいと思います。
目的
1.料理酒とは何か??料理酒と清酒の違いは!
料理酒は、清酒ではなく調味料として販売されている
清酒といえば、今晩1杯飲もうというお酒のこと、お酒にわざわざ料理をつけると調味料になる点が一番大きな違いになります。
料理酒の特徴
料理酒は調味料として販売されているので
料理酒は、スーパーへ行くと清酒売り場ではなく、一般食品のところで販売されています。料理酒は、調味料と一緒の棚にならべられています。酒といっても酒類免許がない一般の店でも販売することができます。
塩を入れて作ることで、飲料として飲めないようにするため、酒税法上「酒類販売免許」がなくても販売できるのです。
料理酒は、清酒と違って「清酒の調味料」として作られているものです。清酒は法令で決められた原料を作って造られています。料理酒は、清酒の原料に塩を加えて発酵している「発酵調味料」と表記されているものです。
料理酒の味には雑味が残っている
日本酒はおいしくするために米のまわりを削っています。米のまわりには雑味があります。この雑味を削り取ることで、酒がおいしくなります。
しかし、この雑味の部分には、アミノ酸や有機酸などの「旨味」成分が入っていて、料理に使うと「旨味」に変化します。料理酒の原料値な米には、この旨味になる部分が残されています。そのため、料理に使うとコクや旨みが出るのです。
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料理酒を調理に使うメリットとその効果は?
料理酒を使うメリットとその効果
- 素材の生臭みを消す
- コクと旨味が出る
- 味をしみ込ませやすい
- 素材をやわらかくする
料理酒にはアルコール成分が入っています。
アルコールの沸点は78℃くらいです。水の沸点が100℃ですから、アルコールの法がやや低めになります。調理して加熱をすると、魚や肉のにおい成分である生臭さはアルコールの加熱と一緒に飛ばすことができます。
また、料理酒に使われる米には雑味が残されていて、この雑味は加熱すると「旨味」や「コク」をだし、素材をやわらかくします。
料理酒を使う理由は、「おいしい料理」をつくるためなのです。
料理酒を使うタイミングは決まっている
料理酒を調理のどのタイミングで使うかというと、調理を始める一番最初に使うといいです。
たとえば、肉料理を作る前に、下準備として料理酒を肉にふってをおきます。肉の臭みを飛ばしたっり、素材をやわらかくしてくれます。料理酒を使うタイミングは、料理中というよりは、下準備の段階で使うとおいしい料理ができます。
調理で加熱しても、あらかじめアルコールが振りかけられているので、旨味もコクもでてきます。料理酒は、「さ・し・す・せ・そ」の調味料の前に使うのがベストです。
料理酒は塩が入っているのでしょっぱい!使い方に注意!
お酒だろうといって、飲むのはやめたほうがいいです。料理酒には2~3%の塩がはいっています。この濃度は、海水とほぼ同じ濃度です。
海に行って波しぶきを浴びたとき、顔に水がかかるとしょっぱいです。ちょうど、あのくらいのしょっぱさがあるのです。だから料理酒を酒と同じだと思って、ドバドバと入れると仕上がりが意外としょっぱかったりします。
たとえば、レシピを見て料理をするとき、「酒 大さじ2」などと書いてあるときは、塩やしょう油を加減して使った方がいいです。
レシピで一般に書いてある「酒」は、無塩を指していることが多いです。そのため、理酒を使って、レシピ通り塩を加えるとしょっぱくなることがあります。
純米料理酒と料理酒の決定的な違いは添加物
料理酒には、純米料理酒と表記されたもと2種類あります。純米料理酒と普通の料理酒は、風味も若干変わりますが、大きな違いは純米料理酒には添加物が入っていないという点です。
純米料理酒と料理酒の違い
- 純米料理酒 米・米麹・塩
- 普通の料理酒 米・米麹・塩 + 添加物の
料理酒を買いに行くと時々「純米料理酒」というのが目につきます。純米料理酒は、米米麹・塩を原料に作られたものです。お米の旨味や風味があります。
一方、普通の料理酒は、米・米麹・食塩に添加物を入れます。主な添加物は、ワイン・酸味料・水飴・クエン酸・コハク酸などです。製造会社によって違うようです。風味や味も添加物でずいぶん変わるようなので、お好みで使うといいかもしれません。
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料理酒の保管場所と保管するときの注意
料理酒を保管するときは紫外線が当たらない暗いところが向いています。
日本酒は日に当たると、「日向臭」という独特の臭いがします。たとえ短時間日に当たっただけでも、すぐに「日向臭」の臭いがし始めます。ですから、料理酒は、暗くて温度が上がらないような場所に保管する必要があります。
2.料理酒を使うかわりに清酒を料理に使うのはどう
料理酒は料理のために作られた「醸造調味料」です。しかし、料理酒も清酒も、米や米麹を原料に発酵させて濾す所までの過程は、一緒です。米の削り方やその後の処理が違うだけで、アルコールも1%以上と、同じ基準で決められています。
料理に向いている清酒は純米酒
清酒は米を発酵させて造る「発酵食品」です。清酒は造り方がによっていろいろな酒類がありますが、大きく分けると純米酒と醸造酒に分けられます。
純米酒はお米と米麹のみを原料としています。お米にある雑味を削ってお酒を造りますが、その削りかたによって、純米酒、特別純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒などに分かれていますなどに分かれています。
また、純米酒以外の醸造酒というのは、お米、米麹にアルコール(エチルアルコール)が加えられます。
さて、純米酒が一番料理に向いていますが、「特別」とか「吟醸酒」になると米の周りを削り取っている精米の歩合が多くなります。普通の「純米酒」がいいです。
純米酒は精米歩合が多くありませんし、米と米麹だけで造られていますので、とても香りがいいです。削り取る部分が少ないため、雑味が残っています。そのため、調理すると雑味は、旨味に変わります
この「旨味」は、清酒の「アミノ酸」 や「コハク酸」などのことです。純米酒はどちらかというと、アミノ酸が多く、コクがあります。
料理として使うのは、「大吟醸」「吟醸」は合いません。温めることで味に「旨味」が加わる純米酒が料理に使うお酒としてオススメです。
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純米酒を料理に使うと驚きの効果が!
清酒に含まれるアルコールは、お驚きの効果があります。素材に含まれる臭いを揮発する時に一緒に取り除いてくれるのです。「共沸(きょうふつ)効果」と呼ばれるいやな臭いを消す効果があります。
肉や魚には独特の生臭みがあります。特に魚にある「トリメチルアミン」という揮発性の臭みは、日本酒の独特の香りがプラスされると消えます。
清酒を加えて蒸したり、煮たり、つけ込んでから焼くとアルコールの作用で。筋繊維の内外は、保水性が高まり、驚くほどやわらかくなります。清酒による風味も同時に出ます。
日本酒と一緒に他の調味料も仕込みやすくなります。熟成された純米酒を料理に使うと素材をやわらかくするだけでなく、国や旨味が生まれます。
清酒のアルコール成分は、細胞壁同士を接着させるペクチンを強化するので、細胞壁の崩壊を防ぎ、細胞の中からデンプン、たんぱく質という成分が溶け出すのを防ぐので、煮崩れもしません。
ご飯を炊くとき、米3合に対し、大さじ1杯の清酒を加えると、ツヤが出てふっくらと炊きあがります。
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料理に清酒を使うときのタイミング
清酒を使うタイミンは、どの調味料よりも前に使います。最初に清酒、それから調味料になります。特に食材を清酒でもみこんだり、清酒をつけ混むなどの料理の下ごしらえの時に使います。
こうしてあらかじめ使っていると、調理段階で加熱をしたとき、熱が加えられたアルコールと一緒に肉や魚の臭みをとばすことができます。
清酒の保管の仕方は上手にすると熟成する
清酒には特に賞味期限というのはありません。しかも火入れをしっかりしているものであれば、冷蔵庫に入れなくても十分保管できるのです。ただし、生酒は冷蔵です。そうでないものは、暗く手比較的温度が低ければ、常温で保管してもかまいません。
日本酒は空気とふれあうことで熟成していきます。熟成の時間をゆっくりさせたいときには、冷蔵庫に入れるとゆっくり熟成します。
3.まとめ
日本酒という言葉は、辞書を引くと「日本古来の酒、清酒、合、みりんなど」と説明されています。一方清酒は、「水と米を原料とし、濁ってない酒」となっています。
また、酒税法における清酒の定義は、「必ず米を使い”濾す”工程がある酒」とし、国税庁は「日本酒は、原材料に国内産米のみを使用し、かつ日本国内で製造された清酒」となっています。
料理酒も清酒もどんな食材とも相性が良く、さらに調理前に使うことでコクと旨みを出してくれます。
大きな違いは、塩分です。塩をあまり入れないで調整したいときには、料理酒が向いているかもしれません。
それにしても米の削り方で残した雑味で旨味に変わる料理酒、旨味も濃くも出すアミノ酸を多く持つ清酒、どちらも臭い消しと旨味やコクを出すことがおわかりいただけたでしょうか。
しかし、世界広しといえど、料理だけのためにお酒を造っている国なんて、そんなにあるものではないと思います。日本の食文化は本当にレベルが高いですね。