ここでは濃口しょう油、薄口しょう油、白しょう油を取り上げて見たいと思います。
目次
1.薄口しょう油と濃口しょう油の違いは色だけではない
スーパーに行くと濃い口しょう油と淡口しょう油が並んでいます。
どちらを買ったらいいのか悩むことはないでしょうか。
しかし、最近、薄口では味が薄いと消費者に誤解を招くとし、「淡」と表記されています。
薄口しょう油と濃口しょう油の違い
- 色の違い
- 味のつがい
- カロリーの違い
- しょう油の使い方
- 色の違い
スーパーのしょう油売り場の棚に「濃い口しょう油」と「淡口しょう油」が並んでいるとパッと見ても色の違いに気づくと思います。
淡口しょう油は、いまだに多くの人が通常「薄口しょう油」と呼ぶように色が薄いのです。
薄口しょう油は江戸時代に兵庫県で誕生したしょう油といわれています。京都に近かったので、京都の精進料理や会席料理を意識して誕生したのかもしれません。
- しょう油の味の違い
一見みると、色の薄い淡口しょう油の塩分が低そうに見えます。しかし、実際は濃口しょう油より薄口しょう油のほうが塩分の量が多いのです。
ですからしょう油の製造メーカーは、「薄口しょう油では塩分が低そうに見える」と誤解されるということであえて「淡口しょう油」と呼んでいるのです。
しかし実際には、メーカーやしょう油業界の話であって、一般には「淡口しょう油」よりは、「薄口しょう油」と呼ぶ人たちのほうが多いようです。
「薄口しょう油」の塩分が高いのは、原料に使う塩の量が多いからです。
諸味を熟成する段階で塩水を多く使用することで、発酵を促す菌が死んでしまいます。濃口しょう油などは「諸味」を造って熟成させる期間が6ヶ月以上あります。
醸造食品であるしょう油は、発酵・熟成が進むほど色が濃くなります。
しかし、薄口しょう油の熟成期間は短くて3ヶ月ぐらいなのです。高濃度の食塩で発酵・熟成を抑え、熟成期間も短くするため色も薄いし、味もしょっぱいのです。
薄口しょう油の塩分濃度は18~19%です。濃口しょう油は16~17%ですから薄口しょう油のほうが2%ぐらいしょっぱくなります。
濃口しょう油のカロリーは13kcalですが、淡口しょう油は10kcalです。カロリーは大きく変わるわけではありません。
濃口しょう油は熟成期間が長いことから、香りもコクもしっかり出ているしょう油です。レシピで「しょう油」と書かれているときは「濃口しょう油」を指しています。
使い方は、直接つけたり、かけたりする卓上調味料として使われます。
そのほか、煮物、焼き物、だし、たれなどの調理用しょう油としても使われます。ほぼ、何にでも使えるのが濃口しょう油です。
薄口しょう油は、香りも色も薄いため、たれ、つけ、かけ用には不向きです。しかし色が薄いので、素材の色を残したい野菜の煮物、吸い物、うどんつゆ等に向いています。
特に昆布とは相性が良く、一緒に使うことで昆布の臭いや昆布の持つ旨味を引き出すのも薄口しょう油です。
どんな種類のしょう油を造る場合でも、その過程で塩を使います。そのため、塩分が割合高くなっています。塩分を控えた醤油として造られたのが減塩しょう油です。
色は濃口醤油と同じです。
塩分を少くして造ったしょう油ではなく、濃口しょう油の完成後に、塩分を除く行程が加わって造られます。
近年、健康志向のため、塩分を気にする人が多くなっています。
一度造られた濃口しょう油から、わざわざ完成後に塩を取り出すので、減塩しょう油は大変手間がかけられています。
しかし、消費者のニーズに合わせて、メーカーの努力で完成したのが減塩しょう油なのです。
3. 幻の白しょう油はとても希少
白しょう油の原料と製法は、他のしょう油とは違う
- 白しょう油の原料
主成分は小麦粉で、大豆との比率は9:1のしょう油です。
濃い口しょう油で小麦粉と大豆はほぼ半々ですから、白しょう油は小麦の比率がとても高いしょう油なのです。
小麦が多いと大豆の旨味より小麦からでる甘みが強くなります。
通常の濃い口しょう油は大豆と小麦が5対5の割合で入っています。しかし、「白しょう油」は大豆が1割で小麦が9割なのです。
そのため、濃い口しょう油のような色はつきません。
- 白しょう油の製法
白しょう油は白くてもしょう油の原料を使って製造されています。
醸造期間は3ヶ月程度と短くなっています。
大豆を炒って小麦を蒸します。冷ましてから種麹を作ります。
それに塩水を加え諸味を造ります。
諸味の攪拌は行いません。底に溜まった白しょう油を引き抜き(一番搾り)、残った諸味を圧搾(二番搾り)します。
白しょう油は火を使わないまま瓶に詰められて熟成するので、生きた酵母が入っている調味料といわれています。
このため、ほかの醤油に比べて賞味期間が短くなっています。
白しょう油の起源は愛知県三河地方
白しょう油の起源です。江戸時代後期「褒め味噌」の一種の経山寺味噌(金山寺の味噌)の上汁の色が淡い白で大変美味しかったそうです。
そこでそれを調味料にしたら美味しいのでは、というところから、現在の愛知県三河地方で作り出されたといわれています。
現在でも白しょう油は、愛知県三河地方が中心で、生産されています。しかし希少のため全国どこにでも売っているわけではなく幻の白しょう油といわれています。
白醤油の塩分は濃口醤油より高い
白しょう油は琥珀色で、ちょうどビールのような色をしています。
主に愛知県で生産されていて、国内生産量は1%未満でしかありません。そのため見たことがない人も多いと思います。
全国に出回ることは少なく生産量も少ないため希少でどこにでもあるしょう油ではありません。幻の白しょう油といわれている理由です。
白しょう油は、小麦の糖分で甘みがあり、糖分量は約16%もあります。
熟成期間が短いので、他のしょう油に比べてコクや風味、旨味は抑えめです。しかし糖分を多く含んでいるので、甘みがあり独特の香ばしさがあります。
そして塩分は18%もあります。見た目より塩分は濃いめです。塩分が多いので、醤油の中では一番しょっぱいです。
白しょう油と薄口しょう油、色はにているが・・・!
白しょう油も薄口しょう油も他のしょう油に比べると熟成期間が短いです。
どちらも塩分濃度が高くしょっぱいです。
しかし、大きな違いは原材料にあります。薄口しょう油は他のしょう油と製法は同じです。麹を造って食塩水と一緒にタンクに入れます。諸味を造る時、攪拌しながら寝かせます。
ただ色を淡くするため、食塩水の量を多めにします。最後に甘酒などで調整します。
白しょう油は火を加えないので生の酵母が含まれたしょう油で薄口しょう油は加熱処理が行われています。
両方とも甘みがある醤油ですが、白しょう油は原料の大半を占める小麦の糖分が甘みとなって加わっています。
薄口しょう油は最後に甘酒や氷砂糖を加えて甘みやまろやかさをだしています。
どちらも色が薄いので、食材の色を残したいとき使用されます。
白しょう油は甘さと独特の香りで料理の隠し味となりますが、薄口しょう油は香りやコクが抑えられているので素材を生かした料理の調味料として使われることが多いです。
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4 まとめ
しょう油も作る料理に合わせて使い分けると美味しい料理ができそうですね。
それにしても、しょう油1つとっても奥が深いです。
万能調味料のしょう油は、素材をよく研究して、使い分けるといいですね。
また、愛知県で生産されている白醤しょう油ですが、料亭や旅館などの業務用として使われることが多いようです。
上品な味わいで、珍しい白しょう油を使い、夕食に腕を振るって家族を驚かせてみるのも楽しいかもしれません。
白いしょう油があるだけでも家族はきっと驚きます。