目次
- 1. 醤油の始まりは関西、関西で生まれた醤油がが関東へ
- 2. 醤油とはどんなものをいうのか、その定義は?
- 3. 原料の大豆と小麦を使った醤油の造り方
- 4. 醤油で感じる旨さは5つの旨味がある
- 5. 自在に味を変化し素材に味を合わせる醤油の不思議
- 6. 醤油には5つの種類がある、それぞれ違う製法と味
- 6. まとめ
毎日食卓にでる醤油は、日本が生んだ発酵食品です。
焼き物に使うと香ばしいにおいが食欲をそそります。
たまごかけご飯にも欠かせません。
煮物・焼き物・炒め物だけではなく、かけるだけで
素材を美味しくしてくれます。
さて、あの黒くて光沢のある醤油は、一体どうやって作るのでしょう。
今日は、醤油についていろいろ紹介をしたいと思います。
1. 醤油の始まりは関西、関西で生まれた醤油がが関東へ
醤油のルーツである醤(ひしお)は、縄文時代にはあったのではないかといわれています。これは、縄文時代の遺跡から魚醤の原型と思われるものが出土しています。本格的に醤が作られたのは、大和時代に中国から伝わってきてからのことです。
調味料の醤油という言葉が文献に出てきたのは、室町時代です。室町時代の末期に関西を中心に醤油造りを家業とする人たちが現れました。
関西で生まれた醤油は、その後関東の銚子や野田へ広まりました。やがて醤油は全国で使われるようになりました。
江戸時代、しょうゆが普及するまでは、醤油の代わりに「煎り酒」が使われていました。
醤油が広く普及したのは関西では江戸初期、関東では江戸中期です。醤油は、江戸時代中期に日本独自の発酵食品として完成しました。
2. 醤油とはどんなものをいうのか、その定義は?
醤油の原料は大豆・小麦・食塩の3つです。日本農林規格(JAS法)では、「醤油は大豆を原料にすること」と定められています。従って、大豆を使わなければ「醤油」にはなりません。
大豆のタンパク質が旨味成分のアミノ酸に分解されます。小麦粉のデンプンが甘みや香りの元になるブドウ糖に分解されます。そして雑菌から守りゆっくり時間をかけて醸造させるのに使われるのが食塩です。
微生物による発酵で造られるしょうゆは、半年から長いもので2~3年もの時間をかけます。
大豆は「丸大豆」と「脱脂加工大豆」の2種類があります。現在流通しているしょうゆの8割以上は「脱脂加工大豆」です。
脱脂加工大豆は、大豆油を採油する時たんぱく含量や粒をしょうゆ醸造用に調整されたものです。
油をあまり含まない「脱脂加工大豆」で造るしょうゆは、きれがあるといわれています。また「丸大豆」で造られるしょうゆは、まろやかな味に仕上がります。
小麦のデンプンが分解されるとブドウ糖になります。これがしょうゆの甘みや香りを造っています。また、アミノ酸は旨み成分になるので、しょうゆ全体の旨味の25%は小麦によるものといえます。
塩はしょうゆの味わいに欠かせないだけではなく、雑菌からしょうゆを守ります。長期熟成は塩があるのでできるのです。
3. 原料の大豆と小麦を使った醤油の造り方
では、しょうゆはどのよう造るのか見ていきます。
手順1
最初に原料の大豆と小麦を熱処理して殺菌をします。 熱で加えることで2つの原料は分解されやすくなります。
手順2
蒸した大豆と炒った小麦に種麹をつけ繁殖させます。高温多湿の室(むろ)で人が適度に手を加えながら、3日間かけて麹を造ります。
手順 3
麹室から出て来ると麹菌がたくさんの胞子をつけています。そこに塩水を混ぜて諸味に足ます。 麹に塩を掛けた物を諸味といいますが、醤油造りで一番長い時間をかけます。
諸味は、見た目は水分の多い味噌のような状態ですが、 時間がたつにつれ、濃い色になっていきます。
この発酵熟成期間が半年から長いものですと3年ぐらいかけます。
醤油の作り手は定期的にこの諸味を攪拌(かくはん)といっかき混ぜる作業を行います。
手順4
熟した諸味から醤油を絞り出す作業が圧搾です。布で濾すイメージで、液体と粕を分離します。
手順5
絞った生醤油に80~85℃の熱を加えます。
手順6
用途に応じた容器に入れられます。
以上のようにして醤油は造られています
熱を加えるのは、4つの理由があります。
理由①
生揚醤油は微生物の活動に頼醸造された物なので、熱を加えて微生物の活動をとめます。
理由②
醤油に熱を加えると赤みの強い色になります。
理由③
醤油を熱することで香ばしいしょうゆ香がつきます。
理由④
熱を加えると分解されなかったタンパク質や乳酸菌が、オリ(火入れオリ)として沈殿物になります。ビンやペットボトルに充填される前に、これらのオリを 取り除くことができます。
4. 醤油で感じる旨さは5つの旨味がある
人間が感じる味には5つあるといわれています。甘み・酸味・塩味・苦味・旨味です。
醤油にはこの基本的な5つの味があるといわれています。優れた旨味をすべて取り入れているのが醤油の大きな特長です。
甘み
一般にしょうゆには15種類ぐらいの糖分が3~5%含まれています。
なかでももっとも多いのはブドウ糖ですが、アミノ酸の一種のグリシン等も甘味をだしています。
酸味
もっとも美味しいと感じる美味しさは弱酸性(PH4~5)の味だといわれています。醤油の酸味は乳酸・酢酸・コハク酸・グエン酸などの有機酸です。なかでも乳酸は塩味の角を取りまろやかな味を出しています。
塩味
醤油の塩分は約16%です。しょっぱそうに感じますがアミノ酸や乳酸などの成分や発酵で味にまろやかになっています。
苦味
苦味アミノ酸やペプチドがわずかに入っていますが、塩味や酸味で、マスキング(覆い隠す)され、むしろしょうゆのコクになっています。
旨味
大豆や小麦に含まれているタンパク質が麹菌に分解され発生する20種類のアミノ酸が旨味を造っています。
5つの味に加え醤油には約300種類の香りが入っています。色も黒というよりは赤に近くよく「赤褐色」と醤油の色が表現されます。
醤油のおいしさは、「味」「香り」「色」で造られています。
5. 自在に味を変化し素材に味を合わせる醤油の不思議
口に合わない物に醤油をかけると意外と食べられることがあります。
醤油には「緩衡能」という力があります。たとえばとても強い酸性の物を弱酸性に近づけてしまうのです。
また、臭い臭いを消す力や、塩味をまろやかにする働きもあります。醤油の香りは照り焼きやおせんべいでお馴染みの香ばしさがあります。
それから昔から生ものを醤油で保存することがありますが、醤油には殺菌力があります。
また最近研究で明らかになったのですが、マウスの実験で「胃がん」が抑えられることが分かっています。本当に醤油は万能パワーを持っています。
6. 醤油には5つの種類がある、それぞれ違う製法と味
濃い口醤油
大豆と小麦粉をほぼ半々で造られる醤油です。普通に「醤油」というとたいていこの「濃い口醤油」のことです。魚の臭みをとり、鰹との相性がいいです。
濃い口醤油に対して一般に「薄口醤油」と呼ぶ醤油です。しかし、薄口というと濃い口より塩分が低い感じがします。
実際は濃い口醤油より塩分濃度が高いのですが、薄口というと誤解を招くので「淡口醤油」と表記されています。塩分高めですが、昆布だしとよく合うしょうゆです。
溜醤油
元々醤油は「溜醤油」から始まっていますので、醤油の原点といってもいいです。大豆9割小麦1割、もしくは大豆10割で造ります。
大豆は発酵して旨味になります。小麦は発酵して甘味になります。大豆の割合が多いので、旨味の濃い醤油になります。また、大豆は発酵して黒くなります。
大豆の割合が多いので「濃い口醤油」に比べて色が濃い旨味も強い醤油です。
再仕込み醤油
醤油に食塩水を加えるとき、加熱処理をしていない「絞ったままの醤油」を加えたものです。
材料も手間も2倍かかりますが旨味の濃く、色合いも濃くなります。溜醤油ほどこくはないですし、旨味が、増した贅沢なしょうゆです。
白しょうゆ
小麦9割大豆1割で造るのが「白しょうゆ」です。大豆は発酵すると黒くなりますが、小麦はそれほど黒くはなりません。
小麦が中心のため、色が淡く、琥珀色の美しい色合いをしています。旨味は少なく、甘みがありますが、塩分も多いので甘いわけではありません。
だし醤油、麵つゆは「醤油加工品」になります。
6. まとめ
これほどの万能調味料が世界にあるでしょうか。
食材に合わせて味を変える調味料なんて世界中を探しても見つからないでしょう。そういう意味では醤油は、まさに万能調味料としては世界一だと思います。
しょうゆは、今話題の発酵食品で、世界中が日本発のしょうゆを使っています。こんなにすぐれた調味料を当り前に食卓にのせて使っているのですから。本当に日本人は恵まれていると思います。
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